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建築中心

住宅地の向き(またメモみたいですが)

大学院1年の前期が終わった。前期は設計を始めたこともあり、設計を介してインプットすることが多いように思えた。やはり具体のものを扱うために、その速度は読書よりも幾分劣るが、具体そのものの設計から得られる感覚はやはり設計しないと得られない。と改めて思う前期であった。

 

その中で「住宅地の向き」について考えさせられた。

住宅のスパンは大体30年とされ、その周期は1950年の宅地造成から数え今現在は4周期目つまりもし設計したものが今後数年内に竣工すればそれは第4世代の住宅と言える。

この60年で住宅の大きさが変わってきた。世代を経るごとにその住宅が建つ敷地は相続やミニ開発により細分化された。その一方で住宅の構えは以前として武家屋敷をある種のモデルとして塀+住宅というタイプが依然として多く存在している。必然的に住宅は内向きになるし、小さい分、様々なコンテクストから生じる問題系が顕在化されるようになった。その中のおおきな一つとして「向きの固定化」という問題があると思う。

概ね住宅は北面に水回りを置き、南面に庭を配するために必然的に住宅の向きは南面指向になり、それは平安時代の書院造(もしくはそれ以前?)から連綿と続くのであるが果たしてその建ち方は現代に至りついに形骸化をおこすようになる。というのも、住宅の平面計画に冗長性がなくなりある画一的なプランニングを強いられるようになっているのだ。それはつまり生活様式の固定化をも意味し、さらにはコンテクストとの齟齬も多く引き起こすようになる。例えば今現在設計している敷地では南面は駐車場と北面は通りという北と南の二極に対しプライバシーの問題が生じている場所であるのに対し、既存の家の平面計画はうまく言っているとは言い難くその計画により家の方向性が強く規定されるが故に、大変に一義的な生活を強いられてしまうのである。

 

この背景の中、「リノベーション」と「新築」相互的に検討しているのであるが、

「リノベーション」の場合、軸組構法という性格を読み、そこに少々のレタッチを加えるだけで、状況は少しずつ変わる。例えば研究室のプロジェクト「HKR」で川又さんは二階の床を抜くことで、二階居室の開口を一階のハイサイドライトのように扱ったことにより一階の南面を塞ぐことを可能とした。それは住宅地の向きを少しずつ編集する際に既存の構造を把握し、利用してしまおうという極めてポジティブな方法をとった。

 

このようにリノベーションはある既存のコンテクストに対し、段階的に操作を加えることにより、住宅地固有の問題に接続できる可能性があるとみている。

 

「新築」は、今現在プランを解き、模型に落とし込むというようなトレーニングになっている中、やはり建ち方によって様々な向きが生じてしまうと言う実感をより具体のレベル(言葉レベルよりもという意味)で感じてきた。

また敷地周辺は大きくそのレベルが周囲と比べ下がっており、街としての排水システムが住宅の基礎部分の肥大化と伴い特異なものとしてあり、の肥大化自体は住宅の1Fのレベルを体感的にあげるもので、結果的にプライバシーの問題を解決することにつながるかもしれない。

ときりがないのでこのへんで、

 

 

7月は更新が滞ったので反省。そして夏休みはインプットをとにかく増やそうと思う。

また設計もたくさんしなくては。